原点は京町家から
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原点は京町家から

風と光のコンセプトを共同開発した、YKK AP株式会社のお二方をお招きし
コンセプト誕生秘話を含め、風と光がもたらす効果や窓の位置、
東西南北の日射の効果や、風の通り道での工夫についてインタビューを行いました。

風と光の原点、
京町家とは

なぜ京町家に目を付けたのか、お聞かせください。

白瀬氏

15年前に地球温暖化が話題になり、 いろんな資源を食い潰さないように何か出来ないかと模索していました。
そんな中、京都に多い先人たちの住まいづくりへの知恵が詰まった京町家と呼ばれる長屋に注目しました。 自然に逆らわず、上手く風と光を取り入れ、快適な住まいを築き上げております。

京町家の凄いところは、どのようなところでしょうか。

齋藤

夏は蒸し暑く、冬は寒い京都では、快適な住まいづくりを考えるうえで様々な対策が必要となり、最も重要なのは風と光になります。
通り庭には風の通りをよくする役割もあり、天窓や高窓、坪庭(中庭)を設けることで室内への明かり取りや風を取ることができます。
また、北側の部屋を明るくするために、南向きに白い壁を作り、光の反射効果を上手く利用していたりします。
他にも格子戸や簾戸(すど)も同様の働きに加え、プライバシーの配慮も計算されております。

風と光の人への影響、
効果について

光がもたらす効果について詳しく教えてください。

白瀬氏

太陽の中には3つの紫外線があり『UV-A UV-B UV-C』と表記され、人体に悪影響を及ぼすイメージもございますが、メリットもございます。
1日15分程度浴びるだけでUV-Bの作用により、ビタミンDが形成され、骨や歯の形成を補うチカラがあり、殺菌効果として細菌やカビ・ダニ類の繁殖を防ぐ効果もございます。
日の光そのものはストレス解消にもなり、人は日差しを浴びると体内時計の回復があり、適度の運動と休息のバランスにより、自律神経を整える働きや血行や新陳代謝の働きをよくしたり、皮膚の抵抗力を高めることさえできます。

なるほど。では光のメリットをより効果的に取り入れるために、どのような工夫がなされているのでしょうか。

笹原

人は体内時計に基づいて身体が作られているとも言われております。
一般的な住宅では窓にカーテンをして生活をしているため、エネルギーの源である朝日をカーテンで遮るかたちになり、非常にもったいない感じがします。そこでケーエムハウスでは一棟一棟、お客様の立地やライフスタイルに合わせ、日射計画をすることで、朝日を上手に取り込めるよう、バランスの取れた小窓を設け、朝日を身体に直接浴びることなく、水平に且つ白い壁にあてることで、光の反射効果が生まれ、部屋全体が明るくなり、体内時計のリズムにも大きく影響を与えます。

風の効果についてはいかがですか?

笹原

エアコンは欠かせないものでありますが、時には悪影響を及ぼすこともあります。
例えばエアコンなどの影響で身体の免疫力が低下するとも言われております。そこでケーエムハウスでは自然の風や光を十分取り入れる窓の位置がとても重要と考え、日射の時間や地域の風の吹く方角(卓越風)を基に、自然の風と光を取り入れることで、心も身体も充実した『スローライフ』を送るためのプランをご提案しております。

快適な温度・湿度とはどれくらいでしょうか。

白瀬氏

夏は室内温度が25〜28℃、室内湿度が55〜65%、冬は室内温度が18〜22℃、室内湿度が45〜60%だと快適だと言われております。

部屋の向き別、
設計のポイント

東西南北、部屋の向きによってメリットやデメリットはあるのでしょうか。

笹原

東向きの部屋は、朝のさわやかな光と風を取り入れやすく、また、太陽が昇る東の方向は縁起が良いとして、古来から人気の方角ですが、午前中を過ぎると日当りが弱くなります。そこでケーエムハウスが得意とする光の反射効果により、明るさや暖の確保も可能になります。
西向きの部屋は、日照時間が一番長いのが特長です。冬は温かい反面、部屋の中のものが日焼けするなど困った点もあります。しかし、窓の位置や角度など、風の通り道や光が差し込む位置等を計画することで、西日対策は可能となります。
南向きの部屋は、日差しが強いです。夏場の対策として、設計可能な条件が整えば、南側には極力高窓のみを設けることで、強い日差しを遮断することができます。高窓からの光を白い壁にあて、光の反射効果を使って部屋を明るくするなどの施策により、エアコン代などを抑えることも可能です。
北向きの部屋は、窓が大きくても直射日光が入らず、一年を通して一定した落ち着いた光が入ってくるため、「明るい」部屋になります。夏は太陽の光が差し込まないので、涼しく、精神的に落ち着かせる効果もあり、お子様の勉強部屋に適しており、図書館や画家のアトリエなどはあえて北向きに設計されております。

最後に、風・光診断書についてお聞かせください。

齋藤

風と光の動きを施主様の立地に合わせて、時間毎に調査したうえで住宅の設計へと入るため、部屋の向きに合わせて様々な対策が取れます。
そして、自然のチカラを上手に使い、エアコンなどに頼らず、より健康的且つ、心も豊かになれるようなスローライフを楽しむ事ができます。

予定地に伺い、風・光・敷地環境を調査し、
データを元に「風・光診断書」を作成しています。